(1)現在、ほぼすべての証券会社は、金融庁の指導もあって、顧客との電話会話をすべて、録音することになっています。そこで、証券マンによる不当な勧誘文言は、立証できることが多くなっています。勧誘の多くが対面でなされたとしても、その前後の電話でのやりとりで、不当な勧誘の一端が窺われる、ということがほとんどだと思われます。ぜひ、簡単にあきらめないで、証券会社に対する損害賠償請求を検討して下さい。
(2)株式の頻繁売買の場合、どうして、数ヶ月やそこらで銘柄を次々と乗り換えさせていくのか、合理的な説明のしようがない、という場合がほとんどです。
また、仕組債や通貨オプションなどについては、途中で売ることが難しいことから、結局、3年後などの日経平均の数値に、何百万円、何千万円という資金の運命を委ねて、損をするときは莫大な損をするのに、利益になりだすと償還、終了になるなど、冷静になって考えれば、こんなものをそれと分かって買う者がほんとうにいるのか、などというものも多々あります。
(3)特に仕組債については、令和4年になってからは金融庁も、投資家の理解が不十分なことにつけ込んで不当な販売がなされているとして問題にしたことから、大手証券会社をはじめとして多くの証券会社、銀行が仕組債の販売をやめることを発表していますが、新しく販売をやめたからといって、過去の仕組債販売の違法性が消えるわけではありません。
(4)証券会社、銀行も同じですが、自らの手数料収益を図る余り、顧客の利益を無視した営業を行っている、そんな批判が当てはまる会社が多すぎます。
高度成長期、またバブルの時代は、株価全体が上がっていたので、証券会社の手数料稼ぎ営業が目立ちませんでしたが、低成長時代に入り、株価が低迷すると、証券会社の手数料稼ぎがもろに目立つようになりました。
成長時代が長くなって、さすがに一般投資家も、証券会社から勧められた株を買っても儲からない、ということ気がついて、簡単に株を買ってくれなくなったからでしょう。
(5)このところ、証券会社や銀行が一般顧客に、仕組債、通貨オプション等のデリバティブ商品を買わせて大損させる、証券取引被害が問題になっています。
すでに少し触れましたが、仕組債とは、オプションを組み込んで、特定の株や日経平均株価、あるいはドルが、一定以上の値段を付けていると、6%などという高い金利がつくけれども、一定以上に、たとえば25%以上日経平均株価が下がると、5年後の満期時に日経平均株価が下がった割合分、元本が減ってしまう、などというものです。
(金利スワップ、通貨スワップ、ノックアウト・レシオ特約付輸入予約にかかる通貨オプション契約、レシオ、ギャップ、ノックイン、デジタルクーポン型ノックイン債、コーラブルパワー2通貨30年債、日経平均連動ノックイン債、ゼロコスト通貨、デユアル債、リバース・デユアル債、仕組み預金、為替デリバティブ、コモディティデリバティブなどが、判例上、問題になっています。)
仕組債などが、組み込まれているオプションの時価から計算して、手数料が取られすぎている、などという批判がありますが、オプションは、いつでもすぐに売れるからその時価が付いているのであって、仕組債は、普通は簡単には売れない、あるいは、最後まで売れないというものですから、オプションの時価から仕組債の時価を考えること自体が不当です。
仕組債などの場合、合理的な途中売却ができない以上、数年後の満期時の日経平均の動きなどに投資金の運命を委ねることになるのに、その対価はせいぜい数%のクーポンでしかなく、また、それも途中で減ってしまったり、終わってしまったり、また、今後、どうなる可能性が高いか、などという程度のことすら分からないまま投資することになっている。つまり、何百万円、何千万円という大事な資金を、やみくもに、ばくちのような取引に投資する。その資金がどの程度減ることになるのか、そのリスクを負担する対価としてどの程度のリターンが得られるかなど、具体的に検討して判断することもなく、要するに「まずノックインすることはないだろう。減ってしまうことはないだろう」などと思い込まされて買わされる。そのような取引はおよそまともな証券取引と言えないことは明らかです。
(6)このような、違法、不当な勧誘がまかり通っていいはずがありません。最近、和解での解決も増えています。ぜひ、弁護士にご相談ください。